指導・監査・処分取消訴訟の情報提供、相談、支援を行い、不当な指導・監査・処分を防ぎ、保険医の人権を守る


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保険医切り(=取消処分)段階 ① 「狙い撃ち」個別指導
2008年12月23日「指導・監査 12・23シンポジウム」での細見雅美医師の発言
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保険医切り(=取消処分)段階 ① 「狙い撃ち」個別指導
- 患者さんの状況と処置の必要性など事情を話しましたが、「保険行政は、情状酌量はない世界なんです」と、個々の事情は聞いてはもらえませんでした。
- 初めての個別指導の直後から監査の前までに、数人の医師会幹部より「既に取消処分は決まっている」と言われたので、「取消処分は決まってしまったもので、もうどうしようもない」と思い込まされていました。
全国保険医新聞 2008年12月25日号より 溝部達子医師の発言
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保険医切り(=取消処分)段階 ② 違法な患者調査、患者調書ねつ造
- 患者調書のねつ造発覚にも「何ら問題はない」と開き直るなど、「権力を持ち、嘘をついても何ら責任を問われない立場の人間が、最悪の嘘をついて人を陥れようとする」
- 患者調査が悪質な誘導尋問で、調書の返還を求める患者が多数にのぼった
2008年12月23日「指導・監査 12・23シンポジウム」での塩田勉歯科医師の発言
全国保険医新聞 2008年12月25日号より 溝部達子医師の発言
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保険医切り(=取消処分)段階 ③ 複数回の個別指導、中止の繰り返し
- 指導らしき指導はなく大量のカルテがコピーされ、「証拠集め」のためだけの初めての個別指導が終わりました。
- 2回目、3回目の個別指導は、患者さんが診察を受けたかどうかを捜査するものに変わりました。
- 個別指導の前に既に中止が決まっていたことを示す「シナリオ」
全国保険医新聞 2008年12月25日号より 溝部達子医師の発言
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保険医切り(=取消処分)段階 ④ 過酷な監査 強引な監査調書作成
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保険医切り(=取消処分)段階 ⑤ 保険医取消処分へ
- 監査の違法性を係争中にも関わらず、取消処分の聴聞を実施
- 「あなたは人間性が悪いから取消になっても仕方がない」国側証人が発言
- 聴聞時からの質問、反論に回答のないまま地方社会保険医療協議会で処分決定
「指導・監査 12・23シンポジウム」での細見雅美医師、竹内俊一弁護士の発言
溝部訴訟の経緯
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訴訟の成果を個別指導の現場で生かす
- 「個別指導を受けることは義務であるが、指導内容に従うか否かは任意であり、そのことによって不利益な取り扱いをしてはならない」
- 「指導を受けるものが立ち会い医師にメリットを感ずる第一のケースは、指導官の見解に異論がある場合であろうが、指導を受けるものは自ら医学の専門家として同意できない旨を述べ、指導に従わないこととすればよい」
2008年12月23日「指導・監査 12・23シンポジウム」での暮石智英歯科医師の発言
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すべての保険医の人権を守るために
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すべての保険医の人権を守るために
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高久隆範 指導・監査・処分取消訴訟支援ネット代表世話人
ご意見募集のページはこちら 全国保険医新聞 2008年(平成20年)12月25日号より
「指導・監査・取消訴訟支援ネット」の結成を兼ねた集会が2008年(平成20年)9月23日に開催された。集会では、指導、監査で保険医に対し、違法行為や人権侵害が行われている実態が明らかにされた。保団連では、訴訟の内容を知る趣旨で、11月に開かれた理事会で原告の1人である溝部達子医師から訴えを聞く機会を設けた。当日の報告内容の概要を紹介する。
保険行政の無法地帯
私は2005(平成17)年11月、保険医登録と保険医療機関指定の取り消しを決定されました。
「保険行政における個別指導・監査・行政処分」がどのような実態にあるのか、それを皆様に知っていただき、この無法地帯に一石を投じることにより、保険医の権利が法の支配の下に保障されることを願って、私は訴訟を起こしました。
社会保険事務局の強い権限を背景にした強権的な個別指導・監査・行政処分によって、無念のうちに自殺された医師も多くいると聞いています。
今も苦しんでいる先生方も多くいると思います。その代弁者として法廷に立っています。
私は1980(昭和55)年に東京女子医大を卒業し、13年間大学病院の小児科の医局で働き、1995(平成7)年に生まれ故郷である山梨県甲府市に戻り、開業しました。
2004(平成16)年9月28日に、初めての個別指導が実施されました。この時から私の人生が変わったといっても過言ではありません。
「情状酌量はない世界」と言われ
個別指導は、2003(平成15)年1月1日から2004(同16)年9月27日までの2年近いカルテについて行われました。
そのころ、病児保育や毎日夜10時、11時までの診察などを行っていました。それが裏目に出て、「過剰診療」とされてしまいました。
発端は、2004(平成16)年4月、社会保険診療報酬請求書審査委員会小児科委員(レセプト委員)から、過剰診療ではないかという申し入れが社会保険事務局にあったことです(当時から、小児科医会の会長・副会長が長年レセプト委員を続けています)。
また同日、甲府市医師会副会長からも疑義が多いと申し出がありました(これは、開示された社会保険事務局の内議資料に記載されていました)。
最初の指導で過剰診療の指摘に対して、患者さんの状況と処置の必要性など事情を話しましたが、「保険行政は、情状酌量はない世界なんです」と、個々の事情は聞いてはもらえませんでした。
指導らしき指導はなく、大量のカルテがコピーされ、「証拠集め」のためだけの初めての個別指導が終わりました。
同年11月に、130人以上の患者さんについての患者調査が行われ、2005(平成17)年1月24日に2回目の個別指導が始まりました。
その冒頭で、「点滴の本数や薬の量、検査などの調査をしたところ、ちゃんとやっていることは分かった」と言われました。
その時から、無診察で薬を処方しているとして、2回目、3回目(同年2月3日)の個別指導は、患者さんが診察を受けたかどうかを捜査するものに変わりました。
「指導中止」「結論ありき」のシナリオ
聴聞会の前に、代理人の弁護士が、処分に関するすべての資料の開示を、社会保険事務局に請求しました。
その時出されたものの中に、「指導中止」のシナリオがありました(資料)。
これは2月3日に行われた個別指導の前に、既に中止が決まっていたことを示す証拠です。
■資料 取消処分ありきの「個別指導司会進行要領」

結局、指導も是正勧告もまったくなく個別指導は中止になり、「重大な不正請求が見つかった」と、そのまま監査に移行し、その後、4回の聴聞会を経て、同年11月に山梨地方医療協議会において、保険医登録と保険医療機関指定の取り消しが決められた、というのが経緯です。
私は初めての個別指導の直後から監査の前までに、数人の医師会幹部より「既に取消処分は決まっている」と言われたので、「取消処分は決まってしまったもので、もうどうしようもない」と思い込まされていました。
取消処分は、初めての個別指導の前から決まっていて、すべては練習された劇を観るがごとく、シナリオ通り進められました。
不利益処分の不服を訴えるための聴聞会も社会保険医療協議会も、その本来の機能は失われ、形骸に過ぎませんでした。
患者さん、弁護士さんの勇気ある行動に支えられ
2005(平成17)年3月、患者さんたちに、「理由はよく分からないが取り消しが決まっている。診療所を閉鎖しなければいけない」と話しましたら、「それはどういうことですか?とにかく閉鎖されては困る」と口々に憤慨され、500人から600人くらいの「患者会」がつくられ、署名活動をしたり、社会保険事務局に掛け合ったり、社会保険庁に手紙を書いたりしてくれました。
署名はわずか2〜3週間のうちに2万8千筆余り集まり、過剰診療だと指摘を受けた診療(点滴や検査、夜遅くまでの診療、病児保育など)こそ、患者さんたちはやめてもらっては困ると訴えました。
その年の6月に聴聞会が始まりました。
その時、代理人になってくれたのが、山梨地方社会保険医療協議会の公益委員に任命されていた弁護士でした。山梨県弁護士会の会長をしている弁護士で、それまでの事情を知り、これはおかしいと委員を辞して聴聞会やその後の訴訟の代理人になってくれました。
私は、多くの患者さんと弁護士さんの勇気ある行動により、今何をしなければいけないのかに初めて気がつき、裁判を起こすことを決意しました。
同年11月、執行停止の申し立てと取消処分の取り消し、さらに国家賠償請求を求め、社会保険事務局を提訴しました。12月1日から取り消しが執行されましたが、患者さんが来られるため診療をやめることができず、自費診療で続けました。
執行の停止申し立てが認められる
甲府地方裁判所は2006(平成18)年2月2日、執行停止を決定。その理由は以下の3点でした。
1点目は、「社会保険事務局が不正・不当とする事案について、患者を個別・具体的に明らかにしていない」。
すべての資料を請求したところ、固有名詞はすべて黒塗りで返ってきました。不利益処分の原因・理由が個別に分からないまま取り消すのはおかしいというのが裁判所の判断でした。
2点目は「処分に至るまでの手続きについても、違法性を論じる余地がないとまでは認められない」。
私は1回の「指導」もされず、保険医登録と保険医療機関指定の取消処分を受けましたが、処分の理由とされたものはすべて直したにもかかわらず、それは評価されません。
3点目は「行政手続きにおける平等取扱の原則や比例原則などに照らし、処分が適法であることについて疑間の余地がないとは即断できない」と、裁量権の逸脱または濫用を示唆してくれました。
執行停止決定の背景には、社会保険事務局が行った患者調査が悪質な誘導尋問で、調書の返還を求める患者が多数にのぼったこと、取り消し撤回を求める署名や社会保険庁への抗議の手紙が多数寄せられたこと、聴聞会でも裁判でも、事実誤認があったことを患者さん自身が証言したことなどがあったと思われます。
2月11日、国が控訴を断念したため執行停止が確定しました。裁判史上、大変めずらしいことだそうです。
保険医の権利
私はこの経験を通して次の3点を訴えたいと思います。
1つは、社会保険事務局に行政手続法の定めと指導大綱に従った懇切丁寧・適切な指導をして、本来の職務を全うしていただきたいこと。
2つ目は、監査法の公平性・透明性を実現し、客観的・合理的規則に見直してもらいたいということ。
3つ目は、今回のように結論ありきで恣意的に事が進められることを抑制するための機能が必要だということです。
現在の厚生局の構造と規則の中では「過剰診療」「不当請求」などの理由で「個別指導」を受け、カルテの中から何でも抜き出されて「監査」となり、1人の保険指導医や医療事務指導官の主観的尺度で取消処分が決まってしまいます。
全国の保険医は本当に危ない状況にあり、保険医の権利は法の下に何も保障されていません。そのため、指導・監査・処分等の強い権限を背景にした社会保険事務局(現在は地方厚生局)の横暴・強権的保険行政がまかり通っています。
1922年に制定された「健康保険法」には、保険医の権利について何も記載されず、86年が経過しています。
全国の保険医は、最も大事な「保険医の権利」を忘れてきてしまったのではないでしょうか。
今こそ、法の支配の下に保険医の権利を保障させることが、将来の日本の医療のためにも、全国の保険医のためにも、患者さんのためにも、ぜひとも必要なことと考えます。
■ ホーム > 各訴訟の経緯 > 保険医療機関指定取り消し処分等取消請求訴訟 原告・溝部達子医師からの報告/全国保険医新聞 2008年12月25日号より

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